適合性評価の仕組みと認定

人々が快適な社会生活を営むためには、なんらかの共通な取決めが必要です。
組織体が町や村から大きな都市、国家規模となり、さらには経済のグロ-バル化、ボ-ダレス化が進む現在の世界においては普遍的な共通の取決めが必要不可欠となるのです。その活動が「標準化」であり、具体的に言えば規格の制定ということになります。

「規格」とはもともと度量衡を意味しました。つまり、重さや長さなどの単位を統一することでモノ作りを効率的にする概念です。規格というと(例えばネジの)形状・寸法のような「物」を連想しがちですが、近年はもっと広い領域で規格の概念をとらえています。一例として、ISO 9000、ISO 14001といわれるマネジメントシステム規格のように、規格の概念を単なる「物」ではなく「組織」そのものに広げて使用することもあります。
これら規格の制定により、作り手(= 組織)はより広い市場に、品質の安定した製品・サービスの提供が可能となり、受け手(= 消費者等)は品質の安定した製品・サービスを受けることができます。

標準化の意義

  1. 相互理解
    共通の単位や記号を定めることで、それを知る人すべてが共通に認識できる。
  2. 互換性の確保
    例えば電池は同じ型であればメーカーを問わずに使用できる。CD、カセットテープ、電球なども同様。
  3. 新技術の普及
    2. の電池やCDなどは型が決まっていることで、普及が容易になった。
  4. 消費者の利益確保
    規定のマークを付すことで、品質の保証となる。
  5. 安全性の確保、環境保護
    4. の結果、安全性、環境性も保障される。

組織が生み出す製品やサ-ビス(工程・システム)を、規格や基準(標準)に基づいて評価することを「適合性評価(Conformity Assessment)」と呼びます。その対象としては

  • 製品の規格への適合性を評価する「製品認証」
  • 溶接技能者や非破壊検査技能者などの人の技量に関する規格に対する適格性を評価する「要員認証」
  • 組織(企業等)などの品質マネジメントシステム、環境マネジメントシステム規格への適合性を評価する「マネジメントシステム認証」
  • 科学的な方法による「試験・校正」
  • 簡単な装置あるいは五感による判断を含めた「検査」

などがあります。

ここでいう「認証(Certification)」とは、製品、プロセス、サービスが特定の要求事項(基準・標準・規定)に適合していること、つまり“適合性"を第三者が文書で保証する手続きを指します。

さて、第三者(機関)が認証を行う際に、その第三者(機関)が行った適合性評価が不適格なものとならないように、中立的な立場で審査する必要が出てきます。このように認証機関の能力を審査することを「認定(Accreditation)」と言います。
日本では認証機関が各組織(企業等)を審査し、ISOの認証を与えています。その認証機関自体を審査・認定する機関が「公益財団法人 日本適合性認定協会(JAB)」です。JABが設立される前は、海外の認定機関に頼っていましたが、経団連等の産業界からの強い要望を受け、1993年に通商産業大臣と運輸大臣の許可を得て日本の認定機関となりました。

画像:JABと審査登録機関/組織(企業等)との関係

 

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