第14回PAC(太平洋認定機関協力機構)総会参加報告
2007年 8月16日
財団法人 日本適合性認定協会
2007年 7月 7日~14日、シンガポールにて第14回PAC総会が開催されました。会議の主要事項につき概要を報告いたします。
- Trainee PEワークショップ
相互承認の条件としての審査を行うPeer Evaluator(相互評価員)養成のための研修が行われた。ノミネートされたTrainee (訓練生)6名(JAB含む)にオブザーバーを加え、10数名が参加し、2日間にわたって開催された。相互承認の重要性、有効性を理解させるとともに、 Peer Evaluatorの役割を認識させることを焦点に研修が行われた。
- コミュニケーション&マーケティング委員会会合(Communication and Marketing Committee)
PACウェブサイト、PACプロモーションCD、小冊子等の作成・開発状況について報告があった。
- 開発国支援委員会会合(Developing Programs Committee Meeting)
開発国支援委員会では、APEC地域での新規認定プログラム開発支援のためのワークショップや研修コース等の企画、管理を行っている。今後の研修計画等、詳細確定次第、PACウェブサイトに情報掲載されることとなった。
- 技術委員会会合(Technical Committee Meeting)
(1)IAF技術委員会議事録レビューでの関心事
ISO/IEC 17021への移行への関心が高く、同規格のPAC研修講師を担当するJABから、研修前のアンケート結果に基づき、多くの認定機関が2007年の 9月までには移行審査を開始するという調査結果が報告された。また、IAF総会決議により、これに記載されている移行期限(2008年 9月15日)を過ぎると認定が無効になることが確認された。17021に対するIAF Guidance発行(既存Guidanceの付属書見直し)に向けての進捗報告も行われた。(2)IAF技術委員会ワーキンググループよりの報告
- ISO/IEC Guide65、ISO/IEC 17021、ISO/IEC 17011 ガイダンス の各WGからの報告
- ISO/IEC 14065: 報告者JAB
マーケットの成長、規格の種類、WGのメンバーの活動および今後の期待、14065ガイダンスのポイントなどの説明があった。
- ISO/IEC 27001 ガイダンス: 報告者JAB
ISO/IEC 27006が発行されたことにより、ISO/IEC 27001(ISMS)認証機関認定に関するIAFガイダンスは作成されないことになったとの報告があった。 - ISO/IEC 20000/ITSM: 報告者JAB
ISO/IEC 20000認定・認証に関心の高いIAFメンバーから情報を集め、EA指針をベースにしたIAFガイダンスの作成を次回IAF/TCで提案することが報告された。ISOではITSM認定・認証に関するガイダンスを作成しないため。
(3)クロスフロンティア(認定機関の本拠地以外の国又は経済圏で認証活動を行っている機関の認定)
IAFレベルでのクロスフロンティア方針については、現地認定を優先、認証機関が海外認定を希望する場合は現地と協力する、という考え方で推進されることを確認した。 - MLAグループ会合(MLA Group Meeting)
相互評価に基づく投票の結果、下記認定機関がMLAグループメンバーとして承認された。
- BoA/Stameq(ベトナム): QMS
- NABCB(インド): EMS
- ISO/IEC 17021トレーニングコース
本トレーニングコースは、2日間にわたってJABが講師を勤めた。
(1)参加者は約50名余りで、香港、インド、南アフリカからの参加者を中心に多くの質疑応答があった。Should として表記されている項目に対する意見交換や、公平性委員会、再認証審査及びISO 9001に基づく認証機関のマネジメントシステム(オプション1)についての理解の相違などについて議論を行った。
(2)2日目のグループワークショップでは、各グループでの懸念事項、IAFガイダンス作成の必要性について、各グループ内で討議の後、全体で発表を行った。
- 総会(Plenary Meeting)
18機関が参加した。現時点のPACメンバーは、正会員18と準会員5で合計23。総数に変更はないが、前回総会では準会員だったJIPDECが、正会員となった。また、MLA加盟状況は、QMS MLA 計15機関、EMS MLA 計11機関、Product MLA 計7機関 となった。
次回(第15回)の年次総会は、クアラルンプールにおいて開催されることとなった。
- Open Forum
今後3年の戦略計画についての自由討論が行われた。開発途上国における中小企業を対象としたセミナーやワークショップの開催可能性についての議論では、実現は難しいとしながらも、産業界に直接メッセージを送ることは重要であり、産業界や規制当局と積極的にコミュニケーションを進めるべきということになった。
その他、認証の信頼性について議論が交わされ、産業界/組織によっては、単に認証されているという以上の価値を求めないこともあるので、マネジメントシステムの改善、マネジメントの弱点の克服を助けるツールとしての位置づけを確かなものにしなければならないとの意見が出た。
