第15回 PAC(太平洋認定協力機構)総会参加報告

2008年 7月30日
財団法人 日本適合性認定協会

2008年 6月21日~28日、マレーシアのクアラルンプールにて第15回PAC総会が開催されました。公開会議の主要事項について、概要を報告いたします。

    • Experienced PE ワークショップ

      国際相互承認の条件としての審査を実施するPeer Evaluator(相互評価員)間の情報共有を目的として、会議を実施した。

      規格・基準の解釈に関連して、認証機関と議論になる点として以下が紹介された

      • 認証マークの使い方(製品の包装にマークを付けることに関して)
      • 製品認証の認証書(組織の住所の表記)
      • 製品認証における試験の位置づけ
      • ISO/IEC 17021関連で、認証サイクルと審査サイクルの関係など

      その他、要員の管理方法についての質問があり、JAS-ANZ(オーストラリア・ニュージーランドの認定機関)、JAB(本協会)における管理方法などの紹介があった。

    • PACの今後の戦略計画(PAC Strategic Planning Session)

      メンバーからのアンケート結果を踏まえ、

      • PACの影響力を地域、国際レベルまで強化
      • PACメンバー及びMLA署名機関数の増加

      など6テーマについてグループで意見交換を実施した。今後開催されるEC(役員会議)にて更に検討される。

    • 技術委員会会合(Technical Committee Meeting)

      1. IAF(国際認定機関フォーラム)内で開発していた「期待される成果」の文書についてJABより、以下内容の説明および意見を述べた。

        • 同文書について、必要投票数が得られなかったため否決された
        • 同文書は、「期待される成果」とは何かについて簡潔な理解を書いたものであり、重要性を考慮すれば、否決されたことを大きな問題と認識すべきである

        これに対して、他のTCメンバーから、説明があった。

        • IAFでの過去の文書投票において、必要投票数が得られなかったことは、初めて起きた事例
        • 7月にパリで行われるIAF ECや次回IAF TC会議にて、再度議論する予定

         

      2. ISO/IEC 17021の要求事項について

        • TCメンバーより「認証組織登録簿を公にアクセス可能とするか、又は要請に応じて提供すること」の規定が盛り込まれた理由、背景について質問を認証機関から受けているとの報告があった
        • TC議長より、この条項の趣旨は、透明性確保の原則に拠っているとの回答があった
        • AACBF(アジア認証機関連盟)から、「登録リスト/一覧の提供」が求められているわけではないことに留意すべきとの意見があった
        • 公表媒体の形式、認証組織の検索方法など詳細を規定しているものではなく、透明性確保の原則に則った運用、対応が求められていることを確認した

         

      3. 公平性委員会の力量

        • AACBFから「認証機関は、力量の検証よりも、独立性/公平性をもった代表による構成を確立することがより重要と認識する」との意見があった
        • これに対し、TCメンバーから、力量の構成要素の一例として、公平性委員会にて議論対象となる事象の文化的側面にかかる知識、組織のマネジメントシステムのプロセスにかかる理解、経営の経験、どのように認証機関が運営されているかの知識、経済社会的な関心事などへの理解が挙げられるとの意見があった
        • ISO・IEC 17021要求のとおり、力量評価のための何かしらの基準が特定されている必要があるとの意見があった
        • その他、コンサルと認証サービスの提供、認証の移転について、質問があり、議論された

         

      4. クロスフロンティア認定指針(IAF GD3)

        GD3開発に参画しているTCメンバーより、現在IAFにて開発中のGD3案について紹介の後、議論が行われた。

       

    • MLAグループ会合(MLA Group Meeting)
      • 要員、FSMS(食品安全マネジメントシステム)のMLA(国際相互承認)拡大を展開することの確認が行われた。さらにJABよりISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)のMLA拡大展開を提案。PAC Plenary(総会)へMLAグループとして提案し、承認を得ることになった
      • MLAの認証周期については現在、規定がないことから、将来的にPAC MLA方針及び手順に、MLA周期についての規定が盛り込まれる可能性があることを確認した
      • CNAS(中国)のQMS、EMSのMLA更新及び製品認証のMLA初回相互評価が承認された

       

     

    • 広報委員会(Communication and Marketing Committee Meeting)
      • PACウェブサイトの改良報告
      • PAC内で合意された「PACニュースレター開発の手順」についての紹介
      • 「国際認定推進の日」活動報告

       

     

    • プログラム開発委員会会合(Developing Programs Committee Meeting)
      • 昨年度シンガポールで実施したISO/IEC 17021研修において講師を務めたJABに謝辞が述べられた。本コースへのフィードバックはorganized and excellentであったのというもの
      • PBT(ドイツの国立計測学研究所)から活動概要の説明があり、PAC Chairが窓口として協力関係の調整を引き続き行うことになった
      • CNASより計画中の食品安全に関する研修の概略が紹介された。ISO 22000に基づくFSMSに加え、製品認証規格も盛り込んだ内容の研修が計画されており、2年の予定で実施されるとのこと。各国でFSMS、 HACCP、製品認証の複数あるいはいずれかのスキームを運用しており、この分野に対する研修のニーズが高いことが確認された
      • 今後の研修テーマとしては、GHG - ISO14065「温室効果ガス-認定またはその他の承認への適用を目的とする温室効果ガスに対するバリデーション、ベリフィケーション機関への要求事項」などがリストにあがっている

       

     

    • ISO/IEC 17024トレーニングコース
      • 主としてISO/IEC 17024(要員の認証機関に対する認定の基準)の理解促進を目的として会議がもたれた
      • 講師を務めたANSI(アメリカの認定機関)は、ISO/IEC 17024に基づいた要員認定・認証の重要性を説明した
      • 参加者からは、認証と訓練の提供、認証範囲の設定、認証を行う地域などに関する質問があったが、講師からは、いずれも、個別ケースを的確に捉え、ISO/IEC 17024の規定と対比させながら、ケースバイケースで判断、対応する必要がある旨の回答がされていた

       

     

    • 総会(Plenary Meeting)
      • 任期切れに伴い、PAC役員が改選され、下記のとおり承認された。

        議長: Ms Elva Nilsen (SCC, カナダ)
        副議長: Mr. Shinichi Iguchi (JAB, 日本)
        EC メンバー: Mr. Lane Hallenbeck (ANSI, アメリカ)
        EC メンバー: Mr. Xiao Jianhua (CNAS, 中国)
        EC メンバー: Mr. B Venkataraman (NABCB, インド)

      • MLA Committeeより、FSMS、ISMS、要員認証について、MLAプログラムの開発をPAC MLA MC(MLAマネジメント委員会)及びPAC TCにて展開することが提案され、承認された
      • PAC運営に関する変更点が報告された。
        1. APEC領域外のメンバーもPAC フルメンバーになることが可能となった
        2. MLA グループメンバー以外のメンバーが、申し出によりMLAグループミーティングに出席可能となった
        3. オープンフォーラムを総会の開始時点に、研修コースをTCの前後に日程設定することとした

         

      • 次回PAC総会は2009年6月13~20日、台北にて開催予定

 

以上

 

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