第16回 PAC(太平洋認定協力機構)総会参加報告

2009年 7月31日
財団法人 日本適合性認定協会

2009年 6月14日から19日、台北にて第16回PAC総会が開催されました。公開会議の主要事項について、概要を報告いたします。

    • Experienced PE ワークショップ

      新しく発行されたIAF/ILAC A5文書*1の概略が説明された。国際相互承認の条件としての相互評価(Peer Evaluation: 以下、PE)を実施するPeer Evaluator(相互評価員)間で理解を共有するとともに、今後のPEに適用されることが確認された。今回はAPLAC(アジア太平洋試験所認定協力機構)事務局が参加し、PACとAPLACのPEプロセスを比較した。APLACとPACのJoint PEを進めるにあたってお互いのプロセスの違いを理解し、問題点を認識した。さらに、新規に相互承認開発が予定されているプログラム(要員、ISMS、FSMS)のために、Peer Evaluatorの力量の開発と確保が必要であることが確認された。

    • 台湾における食品安全に関する取り組みについての講演

      消費者、行政、関連技術、認証・認定、規格等広い範囲から関係者を招いて講演が行われた。主な演題は、以下のとおり。

      • ICP(情報通信技術)を用いた食品のトレーサビリティ、周辺環境の管理について
      • 消費者の視点での食品安全
      • ISO 22000の導入事例をもとに、導入の動機、メリット
      • 台湾の食品安全管理に関するしくみと規制等

       

    • オープンフォーラム
      1. PAC関係者より、食品安全に関連する活動の報告が行われた。
        • APEC FSCF(APEC食品安全協同フォーラム) は、2007年 4月にAPECの食品安全に関する協力を推進することを目的に設立された。オーストラリアと中国が協同議長となり、2年に 1度会合を実施。各国の規制の統一と人材の強化が課題。
        • IAF(国際認定機関フォーラム)で取り扱っている3つの食品安全関連プログラム(プライベートスキームのGlobal GAPとGFSI、パブリックスキームのISO 22000)うち、Global GAPとGFSIはIAFの製品認証のMLA(国際相互承認協定)の対象である。ISO 22000は新しいMLA対象として、今後IAF文書の新規開発の必要性が検討される。
        • JAS-ANZ(オーストラリア&ニュージーランド)及びJABより、自機関の食品安全に関連するプログラムを紹介した。
        • PAC域内で活動する認証機関のほとんどが、ISO 22000認証を実施しているが、PACメンバー認定機関の認定が少ないこと、ISO 22000とPAS 220(製造業に対する食品安全に関する前提条件プログラム)を組み合わせたFSSC 22000プログラム紹介等があった。

         

      2. その他
        • 食品安全トレーニングを行う場合の優先順位、方法を検討するグループ討論を行った。ほとんどのグループが実際の審査や見学あるいはワークショップなど、実践的な手法を優先した。

         

       

    • MLA グループ会合(MLA Group Meeting)
      1. IAFロゴがアソシエーションの分野で登録された(製品や証明分野ではない)。
      2. MLA MC(Management Committee;マネジメント会議)より、報告があった。
        • Peer Evaluationの管理
          最新のPeer Evaluatorのリストが配布され、各認定機関より少なくとも 1名をPeer Evaluatorとして出してほしいとの要請があった。
          PACはIAFによる再評価を2010年 2月頃受ける予定。
          今後のPeer Evaluationの予定が説明された。JABは2009年11月までにQMS/EMSの再評価および製品認証に関する新規評価を受ける。また、 2010年 5月から 6月実施のSCC(カナダ)のPeer Evaluationチームに、JABからメンバーとして参加する。
        • Peer Evaluationにてサーベイランスを実施するかの議論が行われているが、結論に至っていない。IAFレベルで同様の議論が行われており、それを踏まえてPACも対応する。
        • APLACとの合同Peer Evaluationについて、現在の「同時」ではなく「統合」とするため、作業グループを設置し文書案を作成する。

         

      3. その他、新規MLAプログラムとして、要員認証・食品安全マネジメントシステムはIAFの動きに対応する。情報セキュリティマネジメントシステムは、IAFで特段の活動が行われていないため、PACが先行して作業グループを設置する方向で、技術委員会で議論する。また、MLAプログラムの拡大の手順を新たに定めることになった。

       

    • 広報委員会(Communication and Marketing Committee Meeting)
      • ウェブサイト検索機能は付加しないこととなった。文書のアップロード機能を付けた。
      • ニュースレター担当をローテーションにすることの提案があり、必要に応じてニュースレター開発手順に取り入れることとした。
      • プロモーションDVDの提案。
      • パンフレットの内容を更新する必要があり、フィードバックが求められた。
      • 国際認定推進の日についての各認定機関の対応状況が確認された。

       

    • プログラム開発委員会会合(Developing Programs Committee Meeting)
      1. 議長より本会合の職務が、認定機関として経験の浅い国への支援と認定プログラム関連のトレーニングを実施することであることが説明された。また、今後PACメンバーとなる可能性のある国に対し、PACからの働きかけを検討するよう要請があった。
      2. DPCは資金を調達するために、APEC等へアプローチをしていることが報告された。
      3. 2009年のトレーニングの実績として、Experienced PE ワークショップ、GHG(温室効果ガス)、食品安全に関するフォーラムの実施が報告された。
      4. JAB提案により、2010年以降に計画するトレーニング開発のためのWG(作業グループ)が設定されることになった。
        • 認定機関がいかに認証機関及び認証機関審査員の力量を審査するかをテーマに、認定の指針案を作るアウトプットを含めたトレーニングの提案。
        • 「実証された能力」の捉え方が認定機関の間で異なり、合意を形成するのが重要。
        • 上記の合意の形成も含め、3か月をめどに、コースのプログラムを提案する。JABがコーディネートを行い、JAS-ANZ、International Accreditation Service(米)、Standard Malaysia(マレーシア)が参加。

       

    • 技術委員会会合(Technical Committee Meeting)

      議長より、PAC内での共通の認識・立場を構築し、IAFへ働きかけようという呼びかけで開会した。PAC/TC(Technical Committee)よりIAF/TCに提出されたガイド65の15項「供給者に対する苦情」に関する議論の結果と、公式解釈をCASCO(適合性評価委員会: ISOの政策開発委員会の1つ)に求めることが報告された。主な議題は以下の通り。

      1. Experienced PE ワークショップからの報告(1.参照)
      2. 情報公開に関する提案
        • JASC*2よりPACメンバーに対し、IAF提案への支援を求めた。趣旨はおおむね好意的に受け止められた。制度の信頼性を保つためには非常によいことであり、PACとしてIAF/TCへ提案を出し、PAC内で準備を行うことになった。
      3. 新規MLAに向けてのPAC/TCの活動
        • 要員: PACレベルでIAF/TFに対するshadow TFを作り、必要事項の検討を行う。
        • 食品安全マネジメントシステム:IAF のFSMS WGにPACより 3名が参加しており、PACへ活動内容を報告する。さらにPACレベルでshadow TFを作り必要事項の検討を行う。主査はJAB。
        • 情報セキュリティマネジメントシステム: TFを作りPACとして作業。主査はJIPDEC。

         

    • GHGトレーニングコース(Training Course on GHG)
      • 1日目は、特別招聘したUNFCCC(気候変動枠組条約)認定事務局から「京都議定書と国連CDM(クリーン開発メカニズム)プロジェクトに対する認定審査手順、その要求事項」、ANSIから「米国でのISO 14065導入状況、現在までの認定審査における課題とその対策」と「ISO 14065に要求される力量」、JABから「マネジメントシステムとISO 14065とギャップ分析」と「ISO 14066とIAF文書」についての講演が行われた。
      • 2日目は 3グループに分かれ、認定申請書の模擬評価とその議論など、グループ毎に発表を行った。活発な意見交換が行われ、認識・理解の共有化が図られたと思われる。
    • 総会(Plenary Meeting)
      • Executive Committee(役員会議)報告
        内部監査の実施状況が報告された。2008年の内部監査では不適合事項は検出されなかったが、4件の観察事項および 8件のコメントが提起された。
      • 2009年5月8日時点でPACメンバーは25機関(フルメンバー23、アソシエート2)。新たな申請は3機関(BAB:バングラデッシュ、MASM:モンゴル、SLAB:スリランカ)。
      • Executive Committeeメンバー選挙
        Mr. Ridzwan Kasim(DSM) がフルメンバー認定機関の代表として総会で承認された。
      • 財務監視委員会メンバー選挙
        Dr Sunarya(KAN、インドネシア)が2009年に退任。Mr Jeff Chen(TAF、台湾)は続投する。
      • 次回PAC総会は2010年 6月12日から19日 ニュージーランド、ウェリントンにて開催予定。

       

以上

*1IAF/ILAC A5:04/2009 IAF/ILAC Multi-Lateral Mutual Recognition Arrangements (Arrangements):Application of ISO/IEC 17011:2004[INTERNATIONAL ACCREDITATION FORUM, INC.]
*2工業標準化法に基づく登録認証機関制度について(JASC)[日本工業標準調査会]

■本件に関する問合せ先■
財団法人 日本適合性認定協会
認定センター
Tel.03-3442-1214 Fax.03-5475-2780

 

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