第17回 PAC ( 太平洋認定協力機構 ) 総会参加報告

2010年 7月16日
公益財団法人 日本適合性認定協会

2010年 6月11日から18日の期間、ニュージーランド・ウェリントンにて第17回 PAC 総会が開催されました。
主要事項について、概要を報告いたします。

    • オープニングセレモニー
      • ニュージーランド貿易大臣 Tim Groser 氏が挨拶を行い、適合性評価制度を地域産業の振興という視点から見ると、各経済圏における制度の調和や基準の統一よりも、MLA による相互承認が現実的であると述べた。
      • PAC の初代議長 John Hulbert 氏は、PAC の活動がもたらす地域産業活性化への寄与に限界を感じていると述べた。また、新 MLA プログラムの形態の検討、真の顧客 ( 経済、地域市民 ) の要求を満たすサービスへの取り組みなどの課題に自主的に取り組み、IAF への情報発信を通じて世界へ働きかけていきたいと述べた。

       

    • JAS-ANZ ( オーストラリア & ニュージーランド ) セミナー

      JAS-ANZ による認定・認証制度のもとで活動する、GHG ( 温室効果ガス ) 検証機関、酪農製造業者、オーガニック認証機関がそれぞれでの立場で認定・認証制度の意義、解決すべき問題点について講演を行った。

    • オープンフォーラム

      各国における認証の信頼性向上のための取り組みが紹介された。NABCB は認証組織に対して行った直接訪問について報告した。また JAB より、経産省発表のガイドラインを受けた、適合性評価制度の信頼性向上に関する 6つの WG の取り組み状況と課題について報告した。

    • 広報委員会 ( Communication and Marketing Committee Meeting )

      PAC 活動の紹介媒体として、ウェブサイト映像によるプレゼンテーションが行われた。また、PAC 専用の冊子の作成については、検討が継続されることになった。さらに、国際認定の日に関連したイベントについて、各メンバー機関から実施報告があった。

    • プログラム開発委員会会合 ( Developing Programs Committee Meeting )

      ゲストとして APLAC および PBT が参加し、過去 1年の活動報告と今後実施予定のトレーニングコースについて確認・議論が行われた。概要は以下:

      • 2011年に実施予定の「審査員の力量 ( Auditor Competence )」は、JAB が資料作成を進めている。
      • FSMS に関するMLA構築のためのトレーニングコース開催を予定。
      • 2010年 8月にソウルで ISO/IEC 17011、Guide 65 および関連基準に基づくトレーニングコースを開催予定。
      • UNIDO ( 国連工業開発機関 ) と ISO、IAF が共同で実施している "Effectiveness of ISO 9001 certification ( ISO 9001 認証の有効性)" プロジェクトは、第 2段階に入り、認証組織への訪問を実施中。
      • PAC 非加盟の開発途上国への働きかけについて報告があり、継続的な協力が要請された。
      • PBT ( ドイツの国立計測学研究所 ) とは2007年以来協力関係にある。2010年 2月には PBT の支援を受け、organic agriculture ( 有機農業 ) のトレーニングを実施した。本総会時には GlobalGap ( IAF で扱う食品安全関連プログラムの一つ ) のトレーニングを実施する。

       

    • MLA グループ会合 ( MLA Group Meeting )
      • MLA 管理会議および MLA グループの作業について進捗報告があった。
        1. 相互評価において、最終結論に至るまでの期間短縮のための手順変更を行う。
        2. FSMS ( 食品安全マネジメントシステム ) 及び ISMS ( 情報セキュリティマネジメントシステム ) の相互評価員候補が必要である。
        3. MLA で使用する PAC 独自の Normative Document ( 基準文書 ) 開発を想定し、文書改定を行う。
      • 以下 2機関が相互評価結果に基づき、承認された。
        1. AS-ANZ ( オーストラリア & ニュージーランド ): QMS、EMS、製品の更新
        2. NSC ( タイ ): QMS、EMS の更新、製品の拡大
      • MLA プログラムの拡大について、各認定機関のニーズの確認が行われた。
        1. 要員認証、FSMS、ISMS の MLA
        2. 今後の拡大対象として、MD ( 医療機器分野 )、ITSMS ( ITサービスマネジメントシステム)、GHG
      • KAB ( 韓国 ) が認証の信頼性に関するプレゼンテーションを行った。韓国では、審査を行わずに認証を与えるといった認証機関の不祥事があり、IAF や PAC に改善のための協力を求めた。

       

    • 技術委員会会合 ( Technical Committee Meeting )
      • IAF WG/TF ( タスクフォース ) からの報告が行われ、今後の PAC としての対応の必要性を検討した。主なものは以下のとおり。
        1. マネジメントシステム認証の信頼性 WG ( JAB より報告 )
          IAF での議論の概要が報告され、PAC として引き続き対応することが確認された。PAC 対応者は JAB 及び CNAS ( 中国 )。
        2. FSMS WG ( JAB より報告 )
          IAF の MLA に向けての作業項目の説明を行った。PAC でも FSMS に対する MLA の構築を進めることが決定しており、IAF での活動の内容を精査するとともに、PAC 手順を作る必要があるかどうかを今後、検討する。また APEC の食品安全に関する活動を行っているグループより、継続的に情報交換をしていくことが求められた。PAC 対応者は JAB はじめ 7機関。
        3. GHG WG ( TAF 台湾より報告 )
          IAF/TC WG における議論を紹介。認定範囲のセクター分類、GHG 削減スキームを認定プログラムに取り入れる場合の検討事項の共通化、カーボンフットプリントの取り込み、検証員の力量に関わる要求事項の検討などである。MLA に関してはまだ議論中。
        4. 認定審査員の力量分析 TF ( EMA メキシコより報告 )
          本 TF の成果は全認定機関にとって重要であり、PAC として情報の共有、検討を行う。 PAC 対応者は JAB はじめ 4機関。
        5. Cross Frontier Accreditation
          PAC として関連の文書が必要であるかについて、コメントが求められた。PAC 重要事項として方針を検討する小グループを編成。PAC 対応者は JAB はじめ 5機関。
        6. 統合マネジメントシステム文書開発 TF ( JAB より報告 )
          IAFで基準文書が作成検討中であり、内容が各認定機関にとって適切であるかを検討の上、コメントするよう依頼があった。
        7. CASCO 活動報告 ( CNAS 中国より報告 )
          CASCO における ISO/IEC 17021 改定、ISO/IEC 17065 作成、ISO/IEC 17024 改定の進捗状況が報告された。
        8. PAC 技術委員会の今後の活動について
          PACの発言力を増し、地域ニーズに沿った制度構築のために、議長から、
          • IAF 活動へのプロアクティブな対応
          • PAC 地域の必要に応える PAC 文書の開発
          • ISO/CASCO での規格開発のモニタ
          が提言された。

       

    • PBT による Global Gap トレーニング

      Global Gap は農作物の生産過程に適用される認証で、Guide 65 に基づく製品認証である。消費者の保護 ( 食品安全 )、環境、健康、労働者の安全を目的としている。基準への適合に関して " コントロールポイント " が定められており、それぞれ重要度のレベルも設定され、チェックリストに基づき確認が行われる。またトレーサビリティも重視されており、製品が農場までトレースできること、回収のための手順をもつことが求められている。また、AS6000/MS100 ( ニュージーランドのオーガニック及びビオデナミック製品の認証 ) についても説明が行われた。この分野は急速に発展したが、法の整備もされず、プライベート基準が林立するという状態であった。そこで、消費者の保護と生産者の差別化という観点から基準の整備を行った。Guide65 に基づく製品認証で、オーガニックを明確に定義し、ラベルを貼付できる製品の最低限の要求事項を定めた。国内マーケットへの定着を進めており、将来的には国際的に輸出品の認証の基礎としての適用を目指している。

    • 総会 ( Plenary Meeting )
      • PAC 議長、副議長が満場一致で選出された。
        議長: 井口 新一 ( JAB )
        副議長: Venkatamaran Balakrishnan ( NABCB: インド )
      • Executive Committee メンバーの選挙が行われ、新規メンバーとして JAS-ANZ および NAC が選出された。
      • Executive Committee ( 役員会議 ) 報告
        1. 2010年 5月14日時点の PAC のメンバーは、28機関 ( うちアソシエートメンバー 2機関 )。
        2. 財務改善のため新規ファンドを発掘。APEC ( アジア太平洋経済協力)の TILF ( 貿易と投資の自由化・円滑化 ) ファンドを FSMS ( 食品安全マネジメントシステム ) のトレーニング資金として 2010 - 2011年度対象に確保した。
        3. 品質管理責任者から、新規制定文書、改定文書について報告された。
        4. 2009年度内部監査では 2件の不適合 ( 既に是正完了 )、3件の Concern、6件のコメントがあった。2010年度は IAF の相互承認を受けるため内部監査は実施せず。
      • 財務報告及び 2011年予算
      • 次回は 2011年フィリピン・マニラ ( ホストは PAO: フィリピン ) にて開催予定。

       

以上

■本件に関する問合せ先■
公益財団法人 日本適合性認定協会
総務部 CS
E-mail. CS@jab.or.jp
Tel.03-3442-1214 Fax.03-5475-2780

 

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