公益財団法人移行披露会 理事長挨拶

2010年 9月30日
公益財団法人 日本適合性認定協会

 

本協会は、公益法人制度改革にかかる諸法規に則り、 6月23日付で公益財団法人への移行認定を受け、 7月 1日をもって新しく公益財団法人として発足しました。
新法人移行に伴い、 9月14日に関係各位にお集まりいただき、公益法人移行披露会を開催いたしました。披露会では、 8月 5日付で就任した新理事長の久米均よりの就任挨拶を行いました。ここに、挨拶の内容を公表いたします。

 

理事長就任の挨拶

ただいま御紹介いただきました久米でございます。今回本協会が公益財団法人に移行するのを機に、金井前理事長のあとを引き継いで JAB の理事長を勤めさせていただくことになりました。私は JAB の設立および運営に当初からかかわってきたものでありますが、多分これが JAB に対する最後のご奉公になると思ってお引き受けいたしました。少し身に重い役目でありますがせいぜい頑張ってお役に立ちたいと思っておりますので、なにぶんよろしくお願い申し上げます。

JAB が設立されたのは 1993年でございますが、その際、いろいろな意見がありました。その一つはこのような制度は企業の余計な出費になり、企業の競争力を損なうものであるという意見でありました。しかし、欧州ではこの制度をいち早く取り入れ、欧州域内での取引を発展させるために、供給者は ISO 9001 のこの認証を得ることが必要になりましたが、欧州の外の企業でも欧州に製品を売り込もうとする企業は同様に認証を受けることが必要になりました。さらにこの制度が普及するに伴って、欧州以外の国の購入者も供給者にこの認証を得ることを要求することを始めました。このような状況で、わが国がこの制度を取り入れないわけにはいかないと判断し、関係者が JAB の設立を通商産業大臣、運輸大臣に答申したのであります。

日本の企業だけが ISO 9001 の適合性を要求されるのであれば、日本企業の競争力は場合によっては、弱くなるかもしれない。しかし、国際的にすべての企業がこれを要求されるのであれば、同じ立場での競争であり、これが日本の企業の競争力を損なうことにはならない。逆にこの制度を如何に有効に活用し、効果をあげるかが競争力の有力なポイントになると私は考えております。これを有効活用する日本の企業の英知を信じております。これを目的として 1年に 1回このためのシンポジウムを行うことを提案し、当初は日本規格協会にこれを引き受けていただきましたが、現在は JAB がこれを行っております。これを一層充実したものにできればと思っています。

ISO 9000 で、わが国の工業製品の品質がよくなるかどうか。ある人が「 ISO 9000 の導入によって品質がよくなる企業があれば、それはよほど品質マネジメントシステムが遅れている企業だ」というのを耳にしたことがあります。私は品質マネジメントシステムにおいて ISO 9000 の占める位置は、教育制度における義務教育に相当するものであると考えています。小学校、中学校を卒業した人はすべて高度の学問知識があるわけではない。しかし、高度の学術を発展させるためには、義務教育の内容をしっかり身に着けていなければなりません。ISO 9000 規格による品質マネジメントシステムもこれと同様で、良い製品を作るためには、先ず、この規格に基づく品質マネジメントシステムの体制ができていなければなりません。高度の学問知識には義務教育の基礎が必要であるのと同様に、高度の品質を保有する製品を生み出し、確保する品質マネジメントシステムを ISO 9000 規格の上に各組織が独自の優れたシステムを構築していただきたいと考えております。

JAB が行っている認定制度は品質マネジメントシステムから環境マネジメントシステムや試験所認定その他と発展してきておりますが、これらは本来国際的な制度であります。しかし、国際機関が定めたルールに従って仕事をすれば、それで国際的になるわけではありません。また、国際事業にお金を出せばよいということでもありません。お金も大事ですが、大切なことは我々の経験・知識の提供、そのためにどれだけの時間を使うかが大切だと思っております。私が ISO の理事を務めていたときに、各国の貢献度が話題になりました。ここでの貢献は各国の拠出金だけではなく ISO の TC ( 専門委員会 )、SC ( 分科委員会) で務めている幹事国 ( secretariat ) の数、P メンバー ( Participation membership: 会議に参加し、TC に付議される全ての問題、調査文書、および国際規格の最終文書に対する投票義務を持つメンバー ) の数によって評価がされましたが、日本は拠出金ではアメリカと並んで第1位であるものの、幹事国の数では他の先進国と比べると圧倒的に少ないのであります。もっとも、この後で、新日鉄におられた青木さんが ISO の副会長に、またその後で、今日ご出席いただいている通商産業省の標準部長であった田中さんが ISO の会長に就任されました。これはなかなかご苦労なことであったと思っていますが、日本の ISO に対する貢献に大きな貢献をされたと思います。

私は JAB 創立の際に、JAB の役員はその 50% の時間を国際協力に費やすべきだと考え、その資格として、国際経験、英語の能力を必須のものと考えておりました。従来のJABの役員のみなさんはいずれもこの要件を満たしている人たちで、IAF ( 国際認定フォーラム ) 、ILAC ( 国際試験所認定協力機構 ) その他の国際的活動に十分対応されてきたと思っています。Globalization の進展の中で国際的認証制度は今後ますます広がってくると予想しておりますが、JAB の役割は認定業務以外に、新しい課題に対する調査研究、必要な事項の日本からの提案、IAF などの国際会議で発言できる出席者の養成などがあります。国際会議に出席するのは簡単ですが、そこで自分の意見をいうことは慣れないうちはなかなかできません。できれば chair person, secretariat が務まる professional の養成など、今後対応していかなければならない課題は少なくありません。これらの活動にはある程度の財源が必要ですが、JAB はこれに対する資金をもっているわけではなく、認証機関や試験所等から頂戴している審査料をはじめとする各認定料金をこれに当てております。この認定料金は実際の認定活動に要した実費に加えて、認定先機関の活動規模に応じてお願いしている維持料があります。これによって認定先機関には大きな負担をおかけしていることは十分承知しておりますが、これは JAB の国際活動の資金であります。認証機関の皆さんにはこのことを十分ご理解いただき、ご支援をお願いする次第であります。JAB といたしましては可能な限り業務を効率化してコストの削減に努力するとともに、認定先機関から頂戴する維持料の使途については十分配慮して有効なものと致します。

JAB の今後の重点活動として試験所の認定活動があります。測定という問題は技術的な要素が大きい問題でありますが、そのマネジメントの体制もきわめて重要であります。私は以前に日本医師会で、臨床化学検査の精度管理の仕事にご協力させていただいたことがあります。毎年 3000 ぐらいの分析施設に標準試料を配布し、その分析結果を評価するものでありましたが、毎年とんでもない分析値を出してくる施設がいくつかあり、その精度管理体制の充実の必要性を感じておりました。単に分析を行ってその結果を一喜一憂するのではなく、異常が出た場合の原因追求とその再発防止を行うマネジメント体制の充実を願っておりました。JAB がこれにお役に立つことできれば、これはきわめて喜ばしいことであります。

この12月に APLAC ( アジア太平洋試験所認定協力機構 ) の総会が JAB、IAJapan、VLAC および JCLA の国内四認定機関の主催にて大阪で開催されますが、これも JAB の国際事業の一つとしてその成功に向けて努力をしてまいる所存です。

認定・認証業務の機能は、先ず組織の規格適合性を審査し、適合している場合はこれを登録・公表する機能、第二に認証機関の審査能力を認定する機能、第三に審査員の評価・登録・研修を行う機能の三つを含む総合的な制度であります。JAB はその一翼を担うものでありますが、これらのすべての機能が有機的にうまく結合し働く場合にこの制度は効果を発揮いたします。皆様の今後の一層のご理解とご支援をお願いする次第であります。本日はご多忙のところ大勢の方がお集まりいただき、有難うございました。今後ともよろしくお願い申し上げ、私の挨拶とさせていただきます。

注:
本文中、ISO 9000 は ISO 9000 ファミリー規格を指すものとします。
また、ISO 9001 は以下規格を指すものとします。
2000年改訂前→ ISO 9001、ISO 9002、ISO 9003
2000年改訂以降→ ISO 9001

以上
■本件に関する問合せ先■
公益財団法人 日本適合性認定協会
総務部 CS
E-mail: CS@jab.or.jp
Tel.03-3442-1218 Fax.03-5475-2780

 

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