第21回 APLAC (アジア太平洋 試験所認定協力機構) 総会参加報告
2015年8月25日
公益財団法人 日本適合性認定協会
2015年6月12日から19日、コロンボ(スリランカ)にて第21回 APLAC 総会が開催されました。主要事項について、概要を報告いたします。
1. 総会(General Assembly)
- APLAC理事改選
植松慶生(本協会:日本)、Yannapat Uthongsap氏(NSC-ONSC:タイ)のAPLAC 理事任期満了に伴う選挙、Barry Ashcroft 氏(IANZ:ニュージーランド)の期中退任に伴う追加選挙が実施され、藤田 勇氏(IAJapan:日本)とShaharul Sadri Alwi氏(Standard Malaysia:マレーシア)が、また、期中1名分にはJennifer Evans氏(NATA:オーストラリア)が選出された。
- APLACメンバシップ
APLACメンバシップについては、正規メンバ:42機関(26経済地域)-MRA(相互承認)メンバ:37機関(23経済地域)、アソシエートメンバ:11機関(8経済地域)となった。
- その他総会議論
APLACの投票規則について、文書投票についてはこれまで1国1票となっていたが、米国、タイ、日本などは国内に複数の認定機関が存在することからこの投票規則に不満を持っており、理事会からメンバー投票やMRA評議会における投票と同様に1機関1票とするため議論ペーパーが提示され、議論した。賛否双方の意見があったが、1機関1票に賛成する意見が多数を占め、これを決議した。今後この決議に基づいてAPLAC Constitutionの改定を行う。
2. 相互承認評議会(MRA Council)
- 第35回の相互承認評議会が開催され、相互評価報告内容の審議がされた。 今回の審議結果を含めたMRA分野ごとの署名認定機関数は以下の通りとなった。
MRA分野 |
認定機関数 |
MRA分野 |
認定機関数 |
試験所 |
34 |
検査機関 |
16 |
校正機関 |
27 |
標準物質生産者 |
13 |
臨床検査室(15189) |
16 |
技能試験提供者 |
10 |
- 相互評価員
最新の相互評価員登録簿の確認がされた。主任評価員:38名、評価員:34名、Provisional:53、エキスパート13名、ノミネート:6名となっている。主任評価員のためのリフレッシュトレーニングが1月に開催され、27名が出席した。
- 今後の相互評価予定
2017年までの今後の相互評価スケジュールが確認された。
3. 教育委員会 (Training Committee )
- 2014年のAPLAC教育訓練活動のレビュー
臨床検査室ワークショップ、ISO/IEC 17011ベストプラクティス トレーニングコース、ISO/IEC 17020(検査機関の要求事項)の開発国認定機関向けトレーニング、PTB(ドイツに本部を置くファンド・研修提供機関)のトレーニング活動などの報告があった。
- 2016年の訓練ニーズ分析
2015年はPTP(技能試験提供者)認定に関するワークショップ、2016年は検査機関認定に関するワークショップ、2017年にはISO/IEC 17011が改定されればこのトレーニングを実施する。ISO 17034(標準物質生産者の要求事項)とGuide 35(標準物質の統計原則)が2016年までに発行されるならワークショップを追加することが確認された。
- そのほかの議論
ISO/IEC 17011、ISO/IEC 17025(試験所・校正機関の能力)のトレーニングコースに関連してリスクアセスメントに関する意見があったことをきっかけに、Medical領域での議論があった。
Medical領域での拡大範囲に伴うトレーニングの必要性について意見交換がされ、Medical Sub-Committeeとの協力が必要とのことで、今後協力して検討していくこととした。
4. 広報委員会 (Public Information Committee )
- APLAC MRAを利用する規制当局から、MRA対応の認定を受けた試験所等の公表された情報の早期更新が望まれている。このため、広報委員会はAPLACウェブサイトに各認定機関のコンタクトパーソンを明確にして、規制当局が問い合わせできるようにすることを求め、総会で承認された。
- この他、規制当局のILAC/APLAC MRA利用状況について情報発信をするため、各国規制を調査することになった。
5. 技術委員会 (Technical Committee)
- ISO/IEC 17011及びISO/IEC 17025の改定状況の報告があった。マネジメントシステム要求事項のオプションA,Bや下請負、技能試験など課題について意見交換した。
- 検査機関Subcommittee (SC)
ILAC検査機関委員会(IC)での検討事項の報告があった。現在、ILAC ICでは、検査機関が行う試験についてのガイド文書を作っている。
- 標準物質SC
APLAC TC008(標準物質生産者のガイダンス)の改訂版が2015年3月に発行されたこと、ISO Guide 30(標準物質の用語と定義)及びISO Guide 33(標準物質の使い方)の改訂版が2015年2月に発行されたことの報告があった。これらの改訂を受けてトレーニングコースを開催することの提案があり、承認された。
- 臨床検査SC
本SCで作成中の「前処理工程の審査及び認定のガイド文書」第二次案が提示された。第二次案は第一次案と大きく変わるものでないのでAPLACメンバーコメントに付すことを合意。
- APEC TEL MRA SC
米国連邦通信委員会(FCC)が、ISO/IEC 17025認定取得を試験所に課す予定であること及びこの場合、認定の承認は政府間MRAでのみ実行されることの情報提供があった。
- 技能試験SC
技能試験提供者の認定のスコープ記載事項に関するガイド文書が開発中である旨の報告があった。
- 試験の不確かさWG
APLAC TC005(試験の不確かさガイド)の改定案が提示された。この案文は、現行のTC005の内容を全てカバーしていないので改定案とするかどうかは未確定。また、APLAC TC004(仕様適合性の表明に関するガイド)の改定案もまもなく提示できる見込みであることが報告された。双方のガイド文書とも、WG内の確認を経てAPLACメンバーコメントに付すことを合意。
- ソフトウェア試験WG
ソフトウェア試験のガイド文書案(初版)が提示された。試験所のガイド文書とするか認定機関向けの審査ガイドとするか、ISO/IEC 17025認定かISO/IEC 17020認定かの議論があった。案文をAPLACメンバーコメントに出す前にWG内で更に検討することを合意。技能試験提供者の認定のスコープ記載事項に関するガイド文書が開発中である旨の報告があった。
6. 技能試験委員会(Profociency Testing Committee)
- APLAC PTの実施状況
最終報告書作成:8件、現在実施中:11件、技能試験を提案中:4件の合計23件について検討されている。
- Working Group活動
8つのWGの活動報告がそれぞれされた。WG5において検討されている「試験・校正能力を評価する方法に関するガイダンス」に関する詳細の議論がされた。認定機関の役割や技能試験に関する要求等についての確認がされた。討議の結果、提案文書を30日コメント募集することとした。
- その他の活動
技能試験委員会は、トレーニング委員会のPTP及びRMP(標準物質生産者)トレーニングコースの提案をサポートすることを確認した。
7. APLAC/ PAC (アジア太平洋認定協力機構)合同総会
- PAC-EC/APLAC-BoM(PAC/APLAC合同理事会)、PAC-MLA MC/APLAC-MRA(PAC/APLAC合同相互承認評議会)、PAC-CMC/APLAC-PIC(PAC/APLAC合同広報委員会)など、PACとAPLACの合同会議にてAシリーズ文書の改定、相互評価、世界認定の日テーマ、トレーニング等に関する活動報告がされた。
- 次回総会は2016年 6月11日~18日に台北(台湾)において、TAFがホスト認定機関としてAPLAC/PAC合同で開催する。2017年は、タイでの開催を予定している。
以上
本件に関するお問い合わせ先
公益財団法人 日本適合性認定協会
認定センター LAB
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