第17回 IAF/ILAC合同総会報告~IAF編

2017年12月26日
公益財団法人 日本適合性認定協会

IAF (International Accreditation Forum) は、適合性評価機関を認定する機関及び関係機関で構成される国際組織である。その目的は、適合性評価機関が業務にふさわしい力量をもち、利害抵触のない場合のみ認定を行うことである。さらに、認定機関間で相互承認 (MLA: Multilateral Recognition Arrangement) を行い、認定された認証が世界中で信頼されるようにすることにより、ビジネスや顧客にとってのリスクを低減することである。

IAFではマネジメントシステム (MS) 認証、製品認証、要員認証、温室効果ガス (GHG) 妥当性確認/検証等の分野を取り扱い、試験所を認定する機関で構成されるILAC (International Laboratory Accreditation Cooperation) との協力関係の下、例年合同総会を開催している。

ここでは、2017年10月21日から31日にかけてバンクーバー (カナダ) で開催された第17回合同総会について、IAF側で行われた主な議論を報告する。

IAFのメンバー

現在、IAFには106のメンバーが加盟している。そのうち81が認定機関メンバーであり、今回の総会で新しく4つの認定機関が新規加入を認められた。18のIAFの認定機関メンバーのうち、MLAに調印している者をMLAメンバーといい、今回の総会でブルガリア、イランの認定機関が新しく調印を行い、MLAメンバーは66機関となった。

IAF MLA

今回の総会では、新しく2つの認証スキームがMLAの対象として認められた (表2の下線部分)。

IAF MLAは表1に示す5層の区分で構成されている。レベル1は全ての認定機関に適用される基準 (ISO/IEC 17011) を規定する。レベル2の活動とレベル3の基準の組合せをMLAのメインスコープとし、レベル4及びレベル5の基準の組み合わせをサブスコープとする。メインスコープMLAは、適合性評価機関による証明 (attestation) が同等に信頼できる (equally reliable) ことを意味し、サブスコープMLAは適合性評価機関による証明が同等 (equivalent) であることを意味する。表2は現時点でIAF MLAがカバーする範囲である。今回の総会では、FAMI-QSがマネジメントシステム認証のサブスコープMLAの対象として追加された。さらに、これまでサブスコープがなかった要員認証に対し、IPC (International Personnel Certification Association) がサブスコープMLAの対象として承認された。

また、GFSI (Global Food Safety Initiative) との覚書が締結され、GFSI承認スキームを簡便な評価でMLAの対象として承認することができることが確認され、今後さらにMLA対象のスキームが増えていくことが期待される。

相互評価プロセスの改善

IAFメンバーの認定機関はMLAの調印/維持をするために定期的に相互評価 (Peer Evaluation) を受けなければならない。MLAのカバーする範囲とMLAに調印するメンバーが広がったことから、IAFでは有効かつ効率的な相互評価の在り方について議論を進めてきた。ILACと合同のタスクフォースを結成し、相互評価プロセスを再考する (Rethinking on PE) 、従来の相互評価プロセスにとらわれず自由な発想で相互評価プロセスを考えるという活動を開始し今回の総会で会合をもった。

ISO 9001/14001:2015への認証の移行

認定を受けたISO 9001/14001認証の2015年版への移行は2018年9月15日までに終了する必要がある。しかし残り1年を切ったにもかかわらず、移行が進んでおらず (2017年10月現在、約25%が移行) 、認定・認証の利害関係団体で構成されるユーザーアドバイザリーグループから大きな懸念が示された。ユーザーアドバイザリーグループは、2015年版での審査を促進するための処置として、2018年3月15日 (移行期限の半年前) 以降の審査は2015年版で行うこととするよう求め、IAF決議として採択された。

認定範囲内での非認定認証の禁止

認定された認証と非認定の認証の双方が市場に出回り混乱を招いているという問題意識から、2015年の総会でMS認証に対し認定範囲内での非認定認証を禁止する決議が行われた。さらに2016年の総会では、認定されたMS認証と非認定のMS認証を区別するために、MSの認証書には認定シンボルを付けるか認定状態が参照されるようにすることが決議された。今回の総会では、認定された要員認証に対し同様の決議が行われ、非認定認証の禁止及び認定シンボルの使用が要員認証に拡大された。

認定を受けたMS認証のデータベース

IAFでは認定を受けたMS認証のデータベースを構築するための委員会を設置し、活動を進めている。ISOが同様のデータベース構築を計画したものの中止となったため、それを引き継ぐ形で開始され、現在、専門のコンサルタントを雇い、詳細の検討を進めているところである。今回の総会では、ユーザーアドバイザリーグループが、取引にISO 9001認証が要求されるようになっていること、サプライチェーンが世界的に広がっていることから、認定を受けた認証のデータベースはユーザーにとって大きなメリットをもたらすと述べ、データベース構築への強い支持を表明した。

なお、データベース構築に関してはIAF内では全般的に支持されているものの、データベースに情報を提供することが一部の国では国内法に抵触する恐れがあるとして反対する声もあった。

ISO/IEC 17011:2017への移行

認定機関に対する要求事項であるISO/IEC 17011が改定されることをうけ、IAFメンバーの認定機関は改定後3年以内に新版に適合しなければならない。今回の総会では新版への移行計画が示された。当初は2017年版への改定は大きな変更を伴わないとして、移行に対し特段の評価を行わないとの計画が示されたが、利害関係者の認定に対する信頼性を考慮し、全ての認定機関メンバーは3年の移行期間のうちに新版に対する適合性の評価を受けなければならないことになった。また3年間ですべての認定機関が問題なく移行を完了するように、2018年7月1日以降の評価は新版で行うこととされた。

ハラル認証に関するワークショップ

IAF総会に先立ち、International Halal Accreditation Forumによるワークショップが開催された。ワークショップは、"Global Halal Trade, Challenges & opportunities" をテーマとし、ハラル関連の貿易の促進と、サプライチェーンにおけるハラル関連活動の調和の2つのセッションが行われ、それぞれ講演及びパネルディスカッションが行われた。

 

表1: MLAの5層の区分

レベル1 すべての認定機関に適用される基準 (ISO/IEC 17011) 
レベル2 認定活動の種類:
MS認証、製品認証、要員認証、GHG妥当性確認/検証
メインスコープ
  • 適合性評価機関による証明が同等に信頼 (equally reliable)できる
レベル3 認定基準:
ISO/IEC 17021-1 (MS), ISO/IEC 17065 (製品),
ISO/IEC 17024 (要員), ISO 14065 (GHG)
レベル4 レベル3基準の適用のための分野特有の基準:
ISO/IEC 17021-2 (EMS), ISO/IEC 27006 (ISMS), ISO/TS 22003 (FSMS) など

サブスコープ
  • 適合性評価機関による証明が同等 (equivalent) である
レベル5 適合性審査に用いられる基準:
ISO 9001, ISO 14001, ISO 13485, ISO 22000, ISO/IEC 27001, 製品規格 (GlobalGAP) など

表2: IAF MLAの範囲

  認定活動の種類
マネジメントシステム認証 製品認証 要員認証 GHG妥当性確認/検証
メインスコープ ISO/IEC 17021-1 ISO/IEC 17065 ISO/IEC 17024 ISO 14065
サブスコープ
(レベル5)

ISO 9001 (QMS)
ISO 14001 (EMS)
ISO 22000 (FSMS)
ISO/IEC 27001 (ISMS)
ISO 13485 (MD-QMS)
ISO 50001 (EnMS)
FAMI-QS

GlobalG.A.P. IPC  ―

 以上

本件に関するお問い合わせ先
公益財団法人 日本適合性認定協会
認定センター CB
E-mail. info-cb@jab.or.jp
Tel.03-3442-1214 Fax.03-5475-2780

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