2019年 ILAC-IAF合同年次総会 参加報告

2019年12月3日
公益財団法人 日本適合性認定協会

2019年10月21日から30日まで、フランクフルト (ドイツ) にて、ILAC (国際試験所認定協力機構) 及びIAF (国際認定フォーラム) の合同年次総会が開催されました。概要について、報告いたします。

1. 主なポイント

IAF及びILAC合同総会

  • 認定のための単一の国際組織 (ILACとIAFを合併する組織) を設立するための運営委員会の設立を承認。

IAF

  • IAF MD3「先進的サーベイランス・再認証手順のための IAF 基準文書」を即時廃止する。IAF MD3を適用した認証機関は、適用組織に対し1年間の移行期間を設ける。(IAF 決議 2019-16参照)
  • IAF MD11「統合マネジメントシステムの審査におけるJIS Q 17021適用に関するIAF基準文書」は、今年2019年版が発行されたが、適用を停止しファストトラックで改定を開始する。
  • 改訂されたISO 14064-3の移行期間を2019年4月30日から4年間とする。また、改訂されるISO 14065の移行期間を発行日から3年間とする。(IAF 決議 2019-18参照) (IAF 決議 2019-19参照)
  • ISO 45001に関する IAF MLA (相互承認協定) の拡大を承認。(IAF 決議 2019-24参照)

ILAC

  • ILAC MRA (相互承認協定) の新規署名の確認。
    JABのILAC MRAの拡大: 技能試験提供者 (ISO/IEC 17043) (ILAC 決議 GA 23.05参照)
  • ILAC P15 (検査機関に対するISO/IEC 17020:2012の適用文書) 改定での "items inspected” が意図する範囲について「ILAC P15とISO CASCOの解釈に齟齬はない」ことを公式なILAC意見書として提出。

2. 決議事項 (参考和訳)

IAF決議事項 (参考和訳) (PDF 321KB)

ILAC決議事項 (参考和訳) (PDF 271KB)

※IAF-ILAC合同総会の決議事項は、上記に含まれる。

3. IAF年次総会

IAF TC (技術委員会)

マネジメントシステムWG (ISO/IEC 17021)

  • IAF MD11改定をファストトラックで進める。また、現行基準の即時適用停止の通知を行う。
  • IAF MD3の即時基準文書取り下げ。使用している場合は、1年間の猶予を設ける。
  • 力量TFと専門家パネルを設置し、5名選任した。
  • IAF MD12の有効性について、必要に応じISO/IEC 17011:2017に準じた改定をする。
  • ISO 50003移行について、現在の移行手順文書を踏まえ検討TFを設置する。(ファストトラックでの改定を目指す)

食品WG

  • GFSIと当該WGは、2020年GFSIカンファレンスに向けたアクションプラン作成のためのTFを設置した。
  • APAC提案による、オーガニックに対するIAF文書の作成TFを設置した。
  • 次回、ISO/IEC 17029を活用した食品分野での適用についてワークショップを実施する。

医療機器WG (ISO 13485)

  • IAF MD 8投票に向け、IAF TC議長に文書一式を提出する。
  • IAF MD 9改定案は、WGの同意を得た上でIAF TC議長に提出し、次のステップに進める。

製品認証WG (ISO/IEC 17065)

  • 法定計量についてのIAF-OIML合同の審査手順について、合同IAF-OIML認定審査手順 (v.1.8) を合意した。
  • IAF MD20に基づく、認定プロセスに含む認定審査員の力量、専門家パネルを設置する。
  • 次回会議で公平性についてのワークショップを予定する。

要員認証WG (ISO/IEC 17024)

  • 要員認証に対する認定審査員のKSA (知識、技能と資質 knowledge, skills and attributes) に対するリストの最終案を作成した (調査に基づきリスト化と見直しを図った)。本文書は、最終的にはIAF MD20の一部となる見通しである。

森林WG

  • PEFCの管理工程の変更、SFM (Sustainable Forest Management) 規格及び商標に関する要求事項関連の認証機関の変更の対応に来秋いっぱいかかるため、中間会議に合わせたWG会議は行わない。

GHG WG (ISO/IEC 17029)

  • ISO/IEC 17029発行に伴い、環境・GHGの妥当性確認・検証のみならず、すべての分野における妥当性確認・検証に対するWG活動とするようにToR (付託条項) を見直した。
  • ISO/IEC 17029及びISO14064-3:2019発行に伴い、ISO 14065が2020年12月に改訂発行予定であることを見据えて、移行に関する決議事項を推薦した。

認定審査員及び専門家の力量TF

  • IAF MD 20改定に合意した。製品認証及びマネジメントシステム認証のサブスコープの認定審査員の特定の力量を開発する専門家パネルのメンバーを選出する。

適合性評価スキームTF

  • 適合性評価スキームの評価基準の改定について、2回目の60日間のIAFメンバーからのコメント募集を行う。

認定機関の審査期間を決定する原則TF

  • 文書案に対するコメントを反映し、次案作成を進める。

移行TF

  • 手順案及び附属書がTC議長に提出された。

不祥事TF

  • IAF MD7改定に対するIAF TCコメントの精査を行い、次案作成を進める。2020年5月発行予定。

審査時間TF

  • 来年のIAF中間会議に向け、指針2文書を作成し、各規格における不整合を解消する予定。

TCディスカッションペーパーに関する課題解決

  • IAFウェブサイト内にディスカッションペーパープロセスを含める検討を行う。また、IAF Consistency Forumを活性化する。
  • ISO CASCOの明確化プロセスと同様、IAF文書に関する常設のメンテナンスWGを設置する。

認定を取り消された適合性評価機関に対する整合性

  • IAF MD 7改定に際し、認定取り消しとなった適合性評価機関に対する整合に向けた規定を含む附属書作成のため、不祥事TFの活動範囲を拡大する。次回IAF中間会議に規定のアウトラインを提出する。

IAF文書 改定

  • 古くなっているIAF 基準文書及び参考文書を担当するWGは、TFを設置せずレビュー及び改定を進める。その際、ISO/IEC 17011:2017、ISO/IEC 17021-1:2015、ISO/IEC 17065:2012の移行内容を反映させる。

ディスカッションペーパー 合意事項 要旨

  • IAF-TC-12.01-19-2

IAF MD 9:2017の5.2.3 iii)の解釈について明確化のリクエスト (参考和訳) (PDF 246KB)

  • IAF-TC-12.02-19-2

認定機関の一貫性 (参考和訳) (PDF 269KB)

  • IAF-TC-12.03-19-2

認定証への認証機関のエージェントのロゴの貼付 (参考和訳) (PDF 231KB)

  • IAF-TC-12.04-19-2

認証の移転時の文書提出 (参考和訳) (PDF 242KB)

  • IAF-TC-12.05-19-2

認証書の移転にかかる発行元認証機関と受け入れ側認証機関とのコミュニケーション (参考和訳) (PDF 220KB)

  • IAF-TC-12.06-19-2

特定のセクタースキームの適用を受けない、以下のようなISO 9001 (及び、可能性としては他の規格もあり得る) のセクター固有の適用に関する認定基準の明確化 (参考和訳) (PDF 290KB)

  • IAF-TC-12.07-19-2

非認定の認証書 (参考和訳) (PDF 262KB)

  • IAF-TC-12.08-19-2

ISO 45001: 移行期間の終了 (参考和訳) (PDF 260KB)

  • IAF-TC-12.09-19-2

OHSMS認証履歴の維持 (参考和訳) (PDF 236KB)

  • IAF-TC-12.10-19-2

IAF MD1解釈の明確化 (参考和訳) (PDF 258KB)

  • IAF-TC-12.11-19-2

IAF MD5解釈の明確化 (参考和訳) (PDF 205KB)

  • IAF-TC-12.12-19-2

ISO/IEC 17024に基づく要員認証の移転 (参考和訳) (PDF 214KB)

  • IAF-TC-12.13-19-2

IAF MD11適用範囲の改定 (参考和訳) (PDF 233KB)

  • IAF-TC-12.14-19-2

IAF MD23適用範囲: どのエンティティが含まれるのか (参考和訳) (PDF 276KB)

  • IAF-TC-12.15-19-2

複数の法人で構成されている1つの組織の審査工数 (参考和訳) (PDF 232KB)

  • IAF-TC-12.16-19-2

IAF MD1に基づく一時的サイトのサンプリング/ サンプリング活動に含まれる一時的サイトの明確化 (参考和訳) (PDF 255KB)

4. ILAC年次総会

ILAC WG6 - ILAC P15改定

  • ILAC P15改定に際し、ISO/IEC 17020附属書A A.1 b)、A.2 c) ”items inspected” において、検査対象品及び類似の製品 (他社製品等) を含むことに対するISO CASCO解釈との不整合について議論した。ISO CASCOの解釈に齟齬はないことをILAC公式意見書として公表することをILAC AICに推薦した。

ILAC Accreditation Committee (AIC)

ISO/IEC 17025移行対応WG

  • 「サンプリングが影響する場合の不確かさの見積方法」に関して、サンプリングの不確かさ (sMU) は、サンプリング方法を特定しないと計算できないこと、測定の不確かさ (aMU) に比べ非常に大きいため、別々に表記する等議論した。

ILAC Inspection Committee (IC)

TFG Q&A

  • 3件の質問に対する回答案が席上で確認された。TFメンバーの追加動議があり、本協会からは植松正樹を新たにメンバー登録した。

JWG A Series TFG

  • IAF MD 20 及び ILAC G11 “Generic competence of AB Personnel involved in the accreditation process” の整合に向けたIAF/ILAC 文書開発においては、基準文書にすべきか参考文書にすべきかの意見がIAFとILACで異なっており、別々に文書開発をすることも議論された。

AIC WG P9 PT

  • ILAC 60日コメント対応が完了し、投票準備中。文書構造を変更し、ISO/IEC 17011と整合させ、2020年11月までに発行の予定。

AIC WG Forensic (法科学)

  • ILAC G19:08/2014 Modules in a Forensic Science Processの改定について、これまでのISO/IEC 17020、ISO/IEC 17025に加え、ISO 15189を追加する方向でWGとして文書案を修正し、AICにコメント回付する。

WG23 ISO/IEC 17000改定

  • 2019年12月 最終投票の予定、2020年3月発行予定。
  • 共通要素 (公平性、機密保持、要員の力量、苦情・異議申立て、マネジメントシステム) の変更に伴い、ISO/IEC 17020改訂における変更の必要性を検討した。

地域グループ報告 (EA)

  • 車両の型式登録について、適合性評価機関の品質/力量/公平性に関する法制化の検討が進んでいる。欧州の認定機関が ISO/IEC 17020に準じて車両の型式登録機関を認定する。また、TA (type approval) 機関の認定は、車両以外にも法制化、適用される可能性があり、適用範囲の定義の重要性を踏まえ、EAはTA機関の認定に関するTFを設置する見通し。
  • ETV運営グループとEA TC-WG合同会合の報告で、GVP (一般検証プロトコール) の改訂案に対するコメント・フィードバックがあった。日本 環境省 環境実証検証 (ETV) 制度への影響を認識した。

ILAC Arrangement Committee (ARC)

ISO 20387 バイオバンク

  • ILAC MRAでの当該規格の位置づけについて議論があった。最終的な結論には至らなかったが、レベル3 (ISO/IEC 17025、ISO/IEC 17020と同等) が妥当との意見があった。また、活動のロードマップを作成する。

AB間の相互協力に関するポリシー文書

  • 越境認定ガイドILAC G21 改定プロジェクトが変更され、認定機関間の協力に切り替えられ、ポリシー文書として作成された。法律上の確認の上、第4案が30日コメントに付される。本文書をポリシー文書とすることについては反対意見もあるが、多くは賛成である。

ISO/IEC 17029

  • 当該規格は、妥当性確認・検証に一般に用いることができる文書として発行。これに伴い、IAFでは当該規格をレベル3として位置づけ、GHG規格 (ISO 14065) をレベル4に位置付ける検討がされている。環境技術検証 (ETV: ISO 14034) では、検証機関にISO/IEC 17020が要求される矛盾をどう取り扱うかが議論となった。会議後、ISO/CASCO事務局に見解を求めたところ、他に規範文書がある場合にはそれに従い、ない場合に適用することを確認している旨の回答があった。

非常事態における認定の指針文書

  • 前回会議で審議を中断し、2020年の中間会議でワークショップを開くことが合意されていたが、今回の会議で気候変動による災害が世界各国で発生している状況を踏まえ、議論の結果、中断していた文書の作成を再開し、2020年のILAC中間会議に諮る予定となった。

5. その他

  • ILAC-IAF合同年次総会に先立ち、10月20日にフランクフルト (ドイツ) においてIHAF (International Halal Accreditation Forum) 総会が行われ、本協会はIHAFのフルメンバーとして承認された。

今後の会議開催予定:

  • 2020年中間会議: 北京 (中国) 2020年3月30日~4月6日
  • 2020年年次総会: モントリオール (カナダ) 2020年10月27日~11月5日

以上

 

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